羅網事故の80%以上は天井網で発生

本プロジェクトでは、羅網事故の80%以上を占める天井網の上もしくは下で発生した羅網事故※1)の状況について、羅網鳥と羅網箇所(体の部位)との関連性を、さらに詳しく分析しました。

以下は、天井網の上もしくは下で発生している羅網事故について、羅網箇所別に羅網鳥種を整理したものです。

天井網の上・下で発生した羅網事故の鳥種と羅網箇所

天井網の上では、主に小型水鳥が羅網

約3/4を占める天井網の上で発生する羅網事故では、主にオオバンやコガモなどの比較的小型な水鳥が被害鳥となっています。

オオバン

オオバンは最大の羅網被害鳥で、羅網全体の1/3を占めますが、その90%は天井網の上での足・脚部羅網です。

オオバンは特徴的なひれの付いた足(弁足)を持ち、一般に、これが羅網の原因である※2)言われてきました。本プロジェクトの調査結果からは、別の理由が強く示唆されます(後述)。

コガモ

オオバンの次に被害が多いのは、全体の約15%程度を占めるコガモです。

コガモは、その名の通りとても小さなカモで、天井網の網目を容易にすり抜けることができます。実は、それがコガモの翼の付け根側羅網の原因であると考えられます。

天井網の下では中・大型水鳥の羅網が多い

天井網の下で発生する羅網事故では、マガモやカルガモ、オカヨシガモ(♂)など、中・大型のカモ類が被害鳥となる傾向があります。 中・大型水鳥が1辺10~12cm網目の天井網を通り抜けて圃場に侵入する可能性は低く、網の隙間や解放箇所から侵入したと考えられます。

天井網の下で発生する羅網事故の多くは、網の下を飛翔中に、翼や頭・頸部を網目に差し入れてしまったことが原因と思われます。

1) 足・脚部羅網、鳥体が網の上にある場合は、物理的な観点から天井網の上。 その他については、羅網状況の詳細な分析と簡易モデルを用いたシミュレーションにより判断しました。

2) 日本野鳥の会茨城県 機関誌「ひばり」(2021年5月号)など 。