本当に鳥が掛からないの?

ハニカム網目が変形しにくく、物を挟み込みにくい物理的特性を持つことは、広く知られています。 この性質を利用して、漁業などではハニカム網目の成型網が使われています。

は、この性質を防鳥ネットに活かしています。 ハス田の天井網には成型網は重すぎて使えないので、当プロジェクトは、既存の防鳥ネットと同じ糸を用いて「正六角目有結節網」を編網する新技術を開発しました。※1)

ぜひ試してみてください。

網目の網糸の重複部分が気になります

正六角目を有結節で編網していくと、どうしても隣り合った網目の縦方向に網糸が重複してしまいます。この部分に野鳥が引っ掛かったり、はまったりしないか気になりますね。

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正六角目網目の網糸の重複箇所

では、重複部分の前後で独自の結節技法を用いて、2本の網糸の間にできるだけ隙間が空かないようにしています。万一、野鳥の体の一部が入り込んだとしても、網糸には前後方向に引っ張る力が働いているので、強く挟み込まれることはないはずです。

ぜひ試してみてください。

サッカーのゴールネットじゃダメですか?

サッカーのゴールネットの中には、六角形の網目のものがありますね。

ただ、ゴールネットは「ラッセル編網」という技法の網です。柔らかくて細い繊維を束ねた糸を、レース編みの要領で六角形の網目に編み上げていきます。

重すぎるし風雪に耐えられないので、ハス田ではちょっと使えないと思います。

野鳥保護団体などが「直置き網」を推奨していますが?

「直置き網」とは、1辺 2~4.5cmの菱目蛙又有結節網のことですね。

直置き網には、ポリエチレン製の400~1000デニール/モノフィラメント糸が用いられます。とても細い糸で、オレンジ色もしくは青色で着色されていることが多いです。この糸で編んだ網を広げて圃場の作物の上に直接置くか、簡易的な支柱に張り紐を用いて圃場を覆うように展張します。

このような方法で設置された網地の張力は著しく低く、網に接触した野鳥は、足や翼で強く網地を押して抜け出すことができません。 カスミ網で野鳥を捕獲するのと同じ仕組みです。

当プロジェクトが指摘している「絡まり型」羅網の多くは、このタイプの網によるものです。

現状、ハス田で直置き網が使用される期間には圃場にハスの茎葉が残っているため、食害を行うオオバンやカモ類の飛来数はさほどでも無く、羅網事故の数も多くはありません。 ただし、被害鳥のほとんどは、レンコン食害とは無関係と思われる野鳥です。

「直置き網」は非常に安価ですが、耐候性が著しく低い使い捨て網です。 防鳥と羅網事故の抑制、そして環境保護の面からも、当プロジェクトでは、ハス田における直置き網の使用を否定的に捉えています。

これまでハニカム目の網は無かったのですか?

ハニカム目(正六角目)のメリットは広く知られています。成形網やラッセル網には(正)六角目の網があり、すでに色々な場面で利用されています。 ただし、これらのタイプ網は重量があり、風雪に耐えられないなどの理由で、ハス田の防鳥ネットには適しません。

現在、世界中で使われている有結節網のほとんどは「菱目蛙又(かえるまた)結節網」です。ハス田の防鳥ネットは、ほぼ全てこのタイプの網です。蛙又という結節手法を用いますが、結節の前後でカエルの足のように網糸が開いてしまうので、正六角目はできません。

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蛙又結節は結節の前後で網糸が開く

当プロジェクトでは、正六角目有結節網を製造するための、全く新しい結節編網技術を開発しました。

ぜひ試してみてください。