防鳥ネットは、最も確実で効果的な防鳥対策

一般に、野鳥等による農作物の食害に対して最も確実で効果的な対策は、防鳥ネットで作物を完全に覆うこととされています※1)

当然とも言えますが、近年のハス田における防鳥ネットの水鳥類侵入抑制効果の検証でも、防鳥ネットを全面に張った場合の効果が確認されています※2)

防鳥ネットを用いなければ、野鳥によるレンコン食害被害は、さらに深刻であると考えられます。

防鳥ネットの使用例 模式図
(実際にはサイドネットは4辺を囲む形で設置)

ハス田では立体式防鳥ネットが主流

霞ケ浦周辺のハス田では、圃場の周囲に支柱を立て、天井網とサイドネットをワイヤーや強化プラスチック繊維紐で誘引し展張する「立体式防鳥ネット」が主流です。

天井網

天井網には、主に1辺10~12cm/1,500~2,400デニールの菱目有結節網が使用されています。

網糸の色は黒色が主流です。

サイドネット

サイドネットには、主に1辺7~12cm/1,500~3,000デニールの菱目有結節網が使用されています。サイドネットには、網目防風目的も兼ねた網目の小さい(1辺2~3cm程度)ラッセル網が使われることもあります。

網糸の色は黒色が中心で、一部、きゅうりネット等の転用も見受けられます。

その他の防鳥ネット

直置き網・被せ網

ハスの茎葉の上に直接網地を展張するか、簡易的な支柱に網地を被せて使用するタイプの網で、網地の張力が著しく低い状態で使用します。

直置き網・被せ網には、1辺3~4.5cm/400~1,000デニール程度の菱目有結節網が用いられます。網糸の色は、オレンジ系もしくは青が主流です(染料が安価?)。

これまでは畑地で使用が中心でしたが、自然保護団体等の推奨もあり、数年前からハス田でも用いられるようになっています。非常に安価で手軽ですが、耐候性が著しく低い使い捨て網です。

防鳥テグス

限定的ですが、畑地のカラス対策で用いられる防鳥テグスを、ハス田で使用している例も見受けられます。

ハス田での効果は…?

防鳥ネット以外の防除策・忌避策

防鳥ネット以外の防除策・忌避策として、ドローンや音波、光線による追い払いや防除策等も提案されていますが、効果はあっても限定的と考えられます。

適用範囲や利用環境、コスト面・経済性を考慮すると、今のところ現実的な対策とは言えません。

1)「野生鳥獣被害防止マニュアル 鳥類編」 改訂版: 37, 45.(小田谷 他2名 2019)

2)「ハス田における防鳥ネットの水鳥類侵入抑制効果」 日本鳥学会誌68(農林水産省農村振興局 2017)